登竜門郷土芸術博物館のご紹介

2019-05-14

 中国の民間文化の多様性、輝かしさ、無限な創造力は、中華大地の視覚美術に鮮明に表現されています。

 民間美術は伝統工芸と郷土美術といった二つの部分に分けられます。前者の多くは都市にあり、専業職人の手により、宝石、象牙、金銀、紫檀などの高価な材料を使い、巧みな細工を求めるものです。それに対し、後者はよく広々とした民間にあり、田舎者の手により、草木、レンガ、石、竹、紙、布などの回りにある材料を使い、精緻を求めるのではなく、自分の気持ちだけを表現しよとし、そこで各民族と地域の特色が明らかに現れてきます。

 本館は、特に郷土美術の分野に偏っており、広い世界の中から幾種類に重点を置き、民間美術の魅力と精神を表します。

 本館は馮驥才文学芸術研究院の民間美術研究の実体となる部門であり、大学院生のワークショップです。本館の所蔵品は、馮驥才先生とその友人のコレクションによるものです。



各分館のご紹介

1 年画・切り絵展示ホール


 木版年画と切り絵は中国の最も重要な伝統的民間美術であり、国家文化遺産に登録されました。特に、切り絵が世界文化遺産にも登録されています。この展示ホールは、中国各地の年画と切り絵の珍しい作品を展示するだけではなく、昔の職人の作業場と当時の市井の人文風景も留めています。


2 彫刻展示ホール


 古代の中国において、彫刻は絵画と違う状況にあります。絵画は文化人やエリート層に進出し、画家が輩出したのに対し、彫刻はあくまでも民間にあり、歴代の珍品もすべて民間の無名職人によるものです。

 原始時代、石器と陶器が発明されてから、「彫」と「塑」がすでに芽生えてきました。「彫」と「塑」は違います。「彫」は硬質材料に、引き算のように、必要ではない部分を取り除いて、心の想像を取り残すことですが、「塑」は軟質材料で、足し算のように、絶えず必要な部分を添えながら最後に作品を完成させることです。

 中国は悠久な歴史を有し、多種多様な地域や民族により、彫刻の風格や手法が様々であり、民間の珍品も数えきれないほどです。本展示ホールの展示品は、その歴史価値と文化価値を重視するとともに、美意識も非常に重要視しているため、世界でもまれな珍品がたくさん見られます。

 本展示ホールは、歴代の彫刻風格の変遷と、民間の彫刻応用の事例という二つの部分に分けられています。


3 民間画工展示ホール


 人類の絵画は、初期の自発や自由な表現から、徐々に専門的技術が生まれ、専門化・職業化へと進んできました。昔、こういう専門的な画人のことを画工または絵師と呼び、ほとんどは宮廷や宗教に奉仕していました。唐の時代以後、画工の中の優れた者は宮廷の絵師になり、世に知られるようになりましたが、数多くの民間の画工は世に知られていなかったまま、田舎にうずもれていました。数多くの優秀作品も大切にされておらず、伝わらなくなるものも数多くあります。本館に展示されている水陸神蔵、祖先像、民俗画、瑶族盤王図などは、ほとんど民間の傑作と孤本であり、特に『遼代墓主画像』と『清高宗(乾隆)子育図』が鎮館の宝とされています。


4 多彩生活ホール


 美に対する庶民の熱愛は多彩な形で生活に現れています。中国は民族が多く、風情が地域によって異なり、自然材料や生活用品もそれぞれ違うため、非常に豊かな芸術的風格を持っています。本展示ホールでは、日常生活の家具用品から供物や、様々な器具、服装、アクセサリー、祝日用品、玩具、置き飾りまで、庶民の美への理解や生活への思いを全面的に展示しています。


5 藍染め展示ホール


 中国女性の伝統的な服装の装飾は、捺染と刺繍という二つに分けられます。南方の女性労働者は、たいてい藍染め生地を使います。その歴史が長く、手法も多種多様で、主に透かし彫り板締め絞りの藍染、ろうつけ染、くくり染めと藍染めなどがあります。藍染めは江蘇省で栄えていました。

 ここで展示されているのは、南通(江蘇省の市)の藍染め生地とその作りの流れです。江蘇省は海に近く、気候が温かくて潤い、土地が柔らかいので、木綿の栽培に適います。農耕時代、家々が木綿で糸を紡ぎ、布を織り、透かし彫り板を作って青藍の染料で柄模様を染めていました。藍染め生地はせめて千年にわたり中国の女性に使われ、きれいな模様が枚挙にいとまないほど数多く存在していましたが、今日、工業化のインパクトを受け、藍染めが日増しに衰微しつつあり、その伝統的な技術を保ることを旨として、国家無形文化遺産に登録されています。



6、木活字印刷展示ホール


 一つ一つの木彫の活字を組み合わせて印刷を行うのは、中国の印刷分野における偉大なる発明です。宋の慶暦年間(10411048)には、畢昇(ひつしょう、発明家)が粘土を用いた印材に字を刻み、火で焼いて堅くしておいて、そして一字一印の活字を組んで印刷していました。これはドイツ人のグーテンベルクが発明した金属活版印刷技術より400年も早いです。そのおかげで、文化の広めと文明進歩のプロセスを大いに推し進めました。元の時代になって、木彫の活字が作り出されました。

 本展示ホールで展示されている木活字は浙江省の南部の瑞安地域から由来します。その地域の人々は十年、二十年毎に族譜の修訂を行い、その風俗が今でも続けられています。だから、古い活字印刷技術という重要な文化遺産はそこで依然として生き生きとして留められています。そこから、千年にわたる印刷歴史の源が直接に感じられ、優雅で上品な古代文明が体験できます。



7、百花ホール


 本展示ホールで展示されているのは当代の民間芸術の優れた作品であり、伝統的な民間芸術家の傑作が見られる一方で、新時代の民間芸術家の旺盛な気力が感じられ、百花斉放の光景が満喫できます。



8、収蔵庫


 収蔵庫は登竜門郷土芸術博物館の有機的な延長と構成として、木版年画、切り絵などの貴重な作品を所蔵しています。特に木版年画に関わる所蔵品が多く、例えば千枚の貴重な古代の木版年画、各産地の木版、印刷製造ツール及び関係の文献などが収蔵されいます。